1. 化粧品業界の売上減少

 インターンブログでは、「新型コロナウイルスによる各業界への影響と、コロナで伸びる企業」をテーマに連載を行なっています。今回は「コスメ・化粧品」に関してレポートしていきます。

日々メイクに力を入れていた方は、この春から夏にかけて化粧品の消耗が少ないことを実感しているのではないでしょうか。新型コロナウイルスによる外出自粛・マスク着用の浸透・景気の不透明感などから、世界的に化粧品業界の売上が落ち込んでいます。

 資生堂は8月上旬、2020年12月期の連結最終損益について220億円の赤字予測を発表しました。事前の市場予測平均は281億円の黒字だったことからも、新型コロナウイルスが化粧品業界に与えた影響の大きさを伺うことができるでしょう(日経新聞2020年8月7日朝刊)。なかでも、口紅・リップグロスなどの口元に用いる化粧品に関して消費者の購入意欲が低下していることがわかります(下図、アイスタイル調査)

2. コロナ禍でのコスメ需要

 新型コロナウイルスにより、化粧品のニーズに関して大きく2つの変化がありました。1つ目は春頃の「外出自粛」時の製品使用シーンに起因するもの、2つ目は夏以降の「マスク社会」における製品使用シーンに起因するものです。

 まず、1つ目の「外出自粛」に関してです。外出自粛期間は、外出に伴い使用することの多かった口紅・ファンデーション・アイシャドウなどのメイクアップコスメの使用頻度が下がりました。一方で、化粧水・フェイスシートなどのスキンケア商品の需要が向上しました。緊急事態宣言の期間、通勤時間や外出する用事が無くなり、ゆったりとした日常を過ごせるようになった人も多かったのではないでしょうか。余裕を持って自分磨きができるようになったため、根本から肌トラブルを解決することに時間を使う人が増えたと考えられます。

 次に、「マスク」を日常的に使用する様になった現在に関してです。緊急事態宣言が発令された頃よりも自由に出勤や外出を行える様になったものの、社会でのマナー・自分の健康維持の両観点からマスクの着用は必須となっています。

 マスクは少なからず顔に触れるものであるため、「マスクと一緒に使えるコスメ」の需要が向上しています。例えば汗をかいてもマスクにうつりにくいファンデーション、鮮やかな色を纏ってもマスクを汚さないリップティントなどが人気を博しています。一方でマスクとの干渉が少ないアイメイク(アイブロウ・アイライナー・アイシャドウなど)に関しては、売上の減少傾向は大きくありません。Instagramのコスメ系アカウントでは、マスクで口元が見えないからこそ目元のメイクに力を入れよう、という投稿も多く見られます。

 また、消費者はマスク自体に対してもより快適な使用感を求めたことから、「PITTAマスク(下画像)」の人気が急上昇しています。このマスクは、ポリウレタン素材で洗濯・再利用が可能、通常のマスクよりも通気性が良いという機能性に加え、従来の白いマスクと異なりカラーバリエーションが豊富だという特徴があります。今後はマスクをファッションの一部とした顔周りのコーディネートにも注目すべきでしょう。

3. EC戦略

 化粧品業界に関しても、他業界と同じようにインターネットショッピングの需要が向上しています。例えば、L’OREALによると、5月下旬のEC売り上げはアメリカで前年比143%、ラテンアメリカで同300%、ヨーロッパ、中東及びアフリカで同400%増加したそうです。

 一方、化粧品は各消費者の微妙な肌質・パーソナルカラーの違いなどで大きく使用感が異なってくる商材であるため、タッチアップや店頭テスターの代替サービスが求められています。そのため、スマートフォンを用いたバーチャルタッチアップ、パーソナライズされたコスメの定額販売、美容に詳しいインフルエンサーによるライブコマースなどの試みはますます広がっていくでしょう。ECにおいて消費者が十分に(実店舗での購入に極力近いレベルで)製品を理解できる体制を整えられるか否かが、今後の各化粧品会社の売上に大きな影響を及ぼすと考えられます。

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